コラム

SNMPの限界とNetFlowの台頭 ~ NetFlow技術を知ろう

SNMPの限界とNetFlowの台頭 ~ NetFlow技術を知ろう

2014年03月03日


「NetFlow技術を知ろう」というテーマのもと、NetFlowについて最新技術を解説します。

最新の調査によると、将来の注目すべき4つのネットワーク技術として、OpenFlow、NetFlow、
5G Wi-Fi (802.11ac)、Centralized network controls and out-of-band managementが挙げられており、NetFlowは今後の注目すべき技術とされています。

※NetFlowはCisco社標準のプロトコルの名称ですが、
ここではFlow、jFlow、IPFIXなどを含んだフロー技術の一般的な呼称として使用します。

SNMPの限界とNetFlowの台頭

現在、ネットワークの運用・監視にはSNMPベースの管理システムが最も広く利用されています。
しかし、SNMPはポーリングに基づいてデータ収集を行っており、ネットワークの規模が大きくなると、
情報の収集に長時間を要するなどの問題が有ります。
また、時間短縮のためにポーリングの間隔を短くするとネットワークへの負荷が大きくなる問題もあり、
リアルタイムの状況監視には限界があります。
加えて、QoSの監視、アプリケーション毎の帯域、など詳細なトラフィック情報の収集は困難です。

一方、NetFlowはプッシュ型のプロトコルを使用しており、事象を検知した時点で即時に状況を
報告することができますので、リアルタイムのネットワークの監視が可能です。
また、ネットワークへの負荷も少なくて済むことから、大規模ネットワークにも適用できます。
このようにNetFlowは、SNMPには無い優れた機能がサポートされており、海外では一般的になってきて
いますが、日本ではまだ一般に受け入れられていなく、使用は一部のユーザに限られています。
日本では現在主として、トラフィックの表示、トラフィック過負荷の検出、ネットワーク計画・設計などの
用途にのみ使用されています。

NetFlowの最新トレンド

今後ネットワーク利用はより高度化し、UC(Unified Communication)、IPv6、Cloud、IPhoneなどの
モバイル端末、またVoIP、IPTV、ビデオなどのアプリケーションの普及が予想され、今まで以上に高度な
トラフィックの分析、リアルタイムネットワーク監視、セキュリティ向上、が必要となってきます。
NetFlowは将来のこのような要求を満たすための機能拡張を行っており、以下のようなより高度な
トラフィックの分析・監視を実現することが出来ます。

Flexible NetFlowによるフロー情報のカストマイズ(既に実現)

Flexible NetFlowにより、NetFlowレコードのカストマイズが可能となります。
利用者は、用途に応じて必要な項目のみを指定して収集し、送信先を目的に応じて、セキュリティ監視
向け、コアトラフィック監視向け、アプリケーション可視化向け、などの個々の解析システムに振り分けることが出来ます。
これにより、よりきめ細かい解析が実現可能となります。

DPI(Deep Packet Inspection)(既に一部実現)

現在、多くのアプリケーションはポート80番を使用しており、ポート番号のみではアプリケーションを
区分することが出来なくなってきています。
実際使われているアプリケーションを識別するためには、メッセージの中身の解析が必須となります。
これを実現する機能として、Cisco社のNBAR (Network Based Application Recognition)があり
(IPFIXにも同様の機能が有)、ポート番号でなく実際のアプリケーションデータ(L7のデータ)、
HTTPのURL、P2P、Skypeなどの解析が可能となります。

ファイアウォール、IPSでのNetFlowサポート(既に一部実現)

現状では、NetFlowをサポートする装置はルータ、スイッチに限られていますが、
今後はファイアウォール、IPS/IDS、でのサポートが一般的に行われるようになります。
これにより、内部および外部のフローを同時に取得、NATの正確な変換情報、AAAA認証のフロー、
フィルターで拒否されたフロー、双方向のフローが収集できることで、ゼロデイアタックなどの検出が
可能となり、システムのセキュリティ向上が図れます。

パフォーマンス上のトラブル解析向け(既に一部実現)

VoIP、VIDEO、サーバのパフォーマンス上の障害解析は難しく、長時間かかるケースが多々あります。
今後NetFlowは、ジッター情報、SSRC(SIP Synchronization Source Identifier)、パケットロス、TCPの遅延をフロー情報として提供することが可能となり、より速やかに障害の原因究明が可能となります。

その他

以下の機能(項目のみ)が可能です

  • Class-Based Quality of Service DSCPベースの監視(既に一部実現)
  • SCTPプロトコルによるデータの信頼性確保(今後)
  • NBAによるセキュリティ脅威の検知(既に実現)
  • 双方向のフローおよびパケット単位のフロー送出(既に一部実現)
  • ネットワーク要素(VPN、IP Phone、など)毎のトラフィック解析(既に一部実現)

以上の新しい機能は、新規製品に順次搭載され、市場に導入されます。
これによりNetFlowは、ネットワーク監視上より重要は役割を担うものと予想されます。

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