2023年のサイバーセキュリティ展望

2023年2月1日


オリゾンシステムズではFlowmonを中心として、さまざまなセキュリティソリューションをご提供しています。刻々と移り変わる世界情勢から、 Flowmon社のホワイトペーパー Cybersecurity Outlook: 2023 を参考に、今後のサイバーセキュリティの展望について考察します。

サイバー攻撃の現状

昨年サイバー攻撃の脅威の増加を経験した組織は、 グローバルで全体の81% となり、 国内でもこの3年間で2.4倍のサイバー攻撃全体の増加が観測されています。また、国内のランサムウエア攻撃に至っては、2020年から2021年で4倍の増加となっています。( ICTサイバーセキュリティ総合対策2022

この背景として、パンデミック以降の在宅ワークの急増で、インターネットへの依存度が飛躍的増加していることが挙げられます。インターネットへの依存度の増大は、クラウドサービスの利用促進を加速させ、さまざまなIaaS/PaaS/SaaSと自社のITインフラも交えたハイブリットIT環境を構成し、それらがインターネット経由でグローバルに無数に接続された世界を作り出しています。

Gartnerによると、パブリッククラウドサービスへの世界的な支出は、 2023年に6,000億ドルに達する と予想されています。

クラウド導入の劇的な増加により、攻撃対象領域が大幅に拡大し、悪意のある攻撃者が侵害するターゲットが増加することで、サイバー攻撃者にとって投資対効果の高いビジネスとして成立する環境が、整ってしまっていると考えられます。

ビジネス化するサイバー犯罪

2020年に発生したSolarWinds製品の自動更新時にマルウエアが仕込まれた 事件 では、 17,000社中実際にバックドアを利用して侵入した組織は、主なアメリカ政府機関を含めて100弱の組織でした。このことから、攻撃者はどこを実際のターゲットにするかを入念に検討し判断していることが推察されます。また一方、17,000社 – 100社 = 16,900社 については、一定期間いつその被害を受けても不思議でない状態だったと言えます。今現在問題が顕在化していないことが安全である保証はない、と言う状態であることは改めてIT担当者のみならず、経営層もそれが企業経営上のリスクとして存在していることを認識しなければなりません。

この事件からも、ランサムウエア攻撃は一時期の愉快犯的なものから、明確な目的を持った犯罪へとフェーズが変わってきていると考えるべきでしょう。日本でも昨年10月に発生した徳島の町立病院に対する ランサムウエア攻撃 では、 攻撃対象が一部の大企業に限らず、データやシステムの継続利用が不可避な企業・団体であれば、その規模や業界を問わない段階に入っていると認識しなければなりません。

ランサムウエア事故に対し対応準備のある大企業をターゲットにすることは、攻撃者にとってはリターンの大きさよりも、そのための折衝などを含めるとあまり効率の良い攻撃活動とは言えません。事故に対する十分な対応が困難な中小企業向けに “高額だが払えないことはない” 金額を要求する手法が、現実的なアプローチとして捉えられていると思われます。

サプライチェーン攻撃事例が増大している現状から、取引先からのセキュリティ施策状況の確認を受けるケースが今後増えてくることが予想されます。また置き換えればそれは単に自社の施策のみならず、自社との取引がある関係先のセキュリティ施策の確認が必要となることを意味します。ビジネス継続性の重要要素として、自社のセキュリティ施策の明確化はより重要度が高くなってくることが予想されます。

セキュリティ人材の欠乏

2025年までに、 推定350万人 分のサイバーセキュリティの未充足の仕事があると見られています。 現在のサイバー人材不足の背後にある要因は多面的且つ多様な背景を持ち、最近のデジタルトランスフォーメーションの流れに乗り、そのスキルリソース不足の問題解決は容易でないものと予想されています。これを補うための施策として、適切なツールとテクノロジーを通じて、限られたスタッフでサイバーリスクを軽減する必要が指摘されています。

セキュリティ対策の実施のきっかけが、USやシンガポールでは経営層のトップダウン指示が50%以上で一位となっている( サイバーセキュリティ体制構築・人材確保の手引き )一方、日本では「自社のセキュリティインシデント」が一位で、”問題が起こってから対策が検討される” というやや文化的な負の側面が窺われます。またセキュリティの人材不足を問題としている割合は、 日本90%、米・豪約10% となっており、かなり以前から見られるこの傾向から、日本のセキュリティ人材不足は改善の見られない状況といえます。

ビジネスの継続性担保

世界経済フォーラムの 2020年グローバルリスクレポート によると、その年の米国でのサイバー攻撃の検出および訴追に至っている割合は、0.05%程度と推測されており、 サイバー攻撃の大部分はその解決に至っていない実態です。このことからも、これらの攻撃自身をビジネスとして支援するCybercrime-as-a-Serviceが広がり、サイバー攻撃のビジネスモデルが成立しやすい環境となっていることが理解できます。企業としては、事後の対応によるリカバリーにかかるコストは、事前の防御のそれを大きく上回ってしまうという構図を認識しなければなりません。 最もサイバー攻撃リスクから保護された企業では、自動監視ツールを展開し、そこで捉えられたイベントに対し迅速にセキュリティスペシャリストが対応できる警戒態勢をとっています。

またロシアのウクライナ侵攻は、サイバー攻撃のさらなる触媒となっており、その事前の防御への備えの重要性は日々高くなっています。 米国とEUの最も重要な今現在の共通の懸念は、親NATOの国や組織に対する継続的な分散型サービス拒否(DDoS)攻撃を展開する親ロシアグループであるKillNetと言われており、 日本もそのターゲット として宣言を受けていることから、 そのリスクへの備えはますます緊急度を増していると言えるでしょう。

2021年には、アメリカ合衆国の576の企業がランサムウェアによって侵害され、損失は2023年までに世界で 300億ドルを超える と予想されています。 ヨーロッパでも 医療関連機関へのサイバー攻撃 は頻発しており、 日本の医療施設へのサイバー攻撃も多く耳にするようになっています。

企業はより優れた予防策と攻撃対応への活動を通じて、サイバーインシデントの影響を低減することに、ビジネスのみならず社会的な責任を負っています。

2021年に米国の36州が新しいサイバーセキュリティ関連の法律を制定しました。中国とロシアでは新しいデータローカリゼーション対策を制定し、インドやEUなどの国々は、インシデント報告要件の詳細レベルを拡大または追加しています。今後様々な取引先と直接・間接に連結されたビジネス環境では、自社努力のみによる安全担保は事実上不可能となり、日本においても、それを踏まえた法整備や規制強化される可能性が考えられます。

急務となる多層防御の展開

一般にシステムのセキュリティレベルは、その接続されたシステム群の最も弱いセキュリティレベルで評価されます。利用するクラウドサービスおよび自社リソースもふくめ、その一部にでも外部からの侵入を許す脆弱点が存在すれば、その企業のセキュリティレベルは、その脆弱点により評価されることとなります。またこの注意すべき脆弱点はIT機器やソフトウエアだけではなく、脆弱点を完全に排除することは実質的に不可能な人間的要素(ユーザー自身)も含まれます。どれほど外部メールに対して警戒しても、メールに含まれるリンクをクリックしてしまう、添付ファイルを開けてしまうというユーザーの行為は、100%排除することは困難です。

また多要素認証(MFA)による認証の強化や、VPNの展開によるネットワーク経路の安全性の確保も、重要なセキュリティ保護施策と言えますが、すでに侵入を許してしまったマルウエアへの対抗手段とはなり得ません。

これら多様なリスクの低減する手段としては、同様に多様なリスク回避の施策が必要となります。外部との境界、ユーザーやアプリケーションの接点となるエンドポイント、そしてそのデータの経路となるネットワーク、それぞれの層においてバランスの取れた防御策の展開が求められることとなります。

終わりに

セキュリティ専門家の育成は、業種に関わらず重要度を増し、またツールなどの面でもより少ない労力で効果的にセキュリティ対策を実施できるための仕組みの整備が、それら専門家の手当てと並行して求められます。また、単に自社での取り組みに括らず、東京都の 中小企業向けサイバーセキュリティ助成金 など、公共の財政支援などもその展開を円滑に進めるために利用されると良いでしょう。

サイバー攻撃への対応がより緊急度を増すと予想される2023年では、取引先からの要求や経営層でのリスク認識の高まりから、正確なリスク評価およびそれを踏まえた対応策など、具体的なセキュリティ施策の明確化が求めらえるものと予想されます。

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これら2023年の予想される課題に対し、オリゾンシステムズのご提供するソリューションでは、多角的な課題解決をご支援いたします。

Flowmonでは多層防御が不可避となるIT環境において、 ネットワークレベルでのリスク検知 を実現し、攻撃行動の早期検知を可能とします。また、既知の攻撃手法のみならずセロデイ対応など、専門家による解析が必要となる事象の特定をご支援いたします。セキュリティ人材の欠乏を補う、有効な手段として適用をご検討ください。 また自社のITインフラのセキュリティレベルの掌握をご支援する、 ペネトレーションテスト もサービスとしてご提供させていただいております。現状のリスクを正確に把握することで、セキュリティ投資への最適化を図ることが可能となります。その他、IPレベルでの統合アクセス制御をご提供する GoodAccess など、様々なセキュリティソリューションをご検討いただけます。


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