見ているだけじゃダメですか?
〜NW品質状態の可視化から始めるこれからの運用強化~

2025年5月7日


はじめに

現代のIT環境において、ネットワークはあらゆる業務の基盤として欠かせない存在となっています。DX化が加速する昨今では、クラウドサービスの活用やリモートワークの普及、拠点間の接続環境の多様化など、ネットワークを取り巻く環境は日々複雑化しています。こうした背景から、単にネットワーク機器の死活監視や障害検知を行うだけでは、十分な運用・管理が難しくなっています。ネットワークの状態を正確に把握し、安定したサービス提供を続けるためには「ネットワークの可視化」が今まで以上に重要になっています。さらに、可視化によって得られた情報をもとに、効率的な負荷分散や迅速なトラブルシューティング、インシデントの早期発見へとつなげていくことが、これからのネットワーク運用には求められています。本コラムでは、Flowmon Probeの機能を活用した「ネットワーク品質状態の可視化」について解説し、具体的なユースケースを交えながらその有用性をご紹介します。

ネットワーク品質状態可視化のポイント


まず、「ネットワークの品質状態」とは何を指すのでしょうか? これは単に通信ができているかどうかだけではなく、通信がどれだけスムーズに、安定して行われているかを示す重要な指標です。遅延(Delay)が発生していないか、再送(Retransmission)が頻発していないか、応答速度(Response Time)が適切かといった点を総合的に評価する必要があります。 Flowmonでは、ネットワーク品質状態を可視化するための項目を総括してNetwork Performance Monitoring(以下、NPM)と呼んでいます。NPMでは、主に以下の6項目を可視化・監視することができます。

図1:NPM概要

図1:NPM概要

NPMを用いることで通信遅延やサーバ応答遅延、通信経路の不安定さなど、ネットワーク上で発生するパフォーマンス問題の可視化/把握ができます。また、Flowmonでは過去のデータをサマリーせずに参照できるため、突発的な障害だけでなく、慢性的な性能劣化にも早期に気づくことができます。

ネットワーク品質状態可視化のユースケース例
~特定時間帯に発生する業務システムの通信エラー調査~

ここからは実際に起きうるケースを想定して、NPMを活用したネットワークの品質状態を可視化したケースをご紹介します。ある企業では、毎日特定の時間帯になると、業務システムのサーバアプリケーションで通信エラーが発生するという現象が起きていました。利用者からも「業務システムに接続できない」「動作が重い」といったクレームが頻発しており、迅速な対応が求められる状況です。まず、問題切り分けに際してあたりをつけるために、グラフ上にRTTとSRTの情報を表示させることでネットワークの遅延が原因なのか、サーバの応答が遅いのか、おおまかな方向性を把握します。


図2:解析グラフ上にNPM情報の表示

図2:解析グラフ上にNPM情報の表示


次にグラフ上で問題発生時刻周辺のバーストトラフィックやアプリケーションエラーが発生した時間帯に絞って選択し、フローのリスト解析を用いて各項目を図3のように設定し、解析します。

図3:フローのリスト-解析条件の定義

図3:フローのリスト-解析結果

図4:フローのリスト-解析結果

図4:フローのリスト-解析条件の定義

図4の解析結果最上部の通信を問題が発生した該当の通信として話を進めます。解析の結果を見てみると、RTTは平均約5.25ミリ秒程度ですので、問題の発生時には他の通信と比較してもあまり問題でないことが確認できました。しかし、SRTは平均約7.1ミリ秒に対して552.6ミリ秒となっており、他の通信と比較してとても大きい値であることがわかります。RTTはネットワークの遅延値、SRTはサーバの応答時間ですので、ネットワーク自体には大きな問題はなく、サーバ側のリソース不足やアプリケーションのパフォーマンス問題が主な原因であると特定できました。ネットワーク側の調査に無駄な時間をかけることなく、サーバチームへ速やかに原因対応を依頼することができ、業務影響の最小化を図ることができます。 今回は主にSRTとRTTを用いて原因調査をしましたが、他に起きている問題や状況によっては、RTR(再送回数)やDelay(遅延)といった他のNPM情報を可視化することで、より詳細なネットワークの品質状態を確認することができます。

おわりに

ネットワークの可視化とは、単にネットワーク機器や接続構成を見える化することだけではありません。さらに一歩踏み込み、通信の速度・遅延・安定性といった「品質状態」を見える化することが、これからのネットワーク運用に求められる視点となります。可視化に+αの視点を持つことで、問題発生時の迅速な対応、トラブルの根本原因特定、パフォーマンス改善提案など、ネットワーク部門としての価値をさらに高めることができます。 Flowmon Probeで生成したフローでは、NPMだけでなく、HTTPホスト名やDNS、sambaファイルサーバなど、NW機器が生成したフローだけでは行えない+αの解析を実現することができます。前回の記事では、HTTP関連について解説/検証していますので、ご興味があればこちらも併せてご覧ください。
前回のコラム記事はこちらからご覧いただけます。
Flowmon Probeに関する詳細はこちらからご覧ください。


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