日欧サイバーセキュリティ市場の今と未来

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先月(2025年11月)、チェコ共和国ブルノに拠点を構えるAXENTA社において、 日本および中欧ヨーロッパにおけるセキュリティ動向について、情報交換を行う場がありました。ここではその模様を、一部ご紹介させていただきます。

その前に、少し余談ですが、ブルノの街並みについて、なにかと話題の生成 AI に尋ねると、こんな風に返ってきます。

石畳の路地を抜けると、カフェのテラス席で学生がラップトップを広げ、さらに進めばシュピルベルク城が丘の上から街を見守っている。 その麓には最新の研究施設が並ぶテクノロジーパーク。歴史の重みとITの息づかいが同居する街。

――まさに絵に描いたようなブルノの姿です。 しかし、私たちが訪れたのは11月。……中欧 “らしい” 天気にしっかり歓迎されました。 毎日どんよりとした曇り空、滞在中はついに太陽を見ることがありませんでした。シュピルベルク城も濃い霧にすっぽり包まれ、丘を登っても眼下に広がるのは一面の雲。これはこれで貴重な体験ではありましたが、雨に降られなかったことが唯一の救い、私たちの日頃の行い――ということにしておきます。

さて、本題の AXENTA 社についてですが、 同社は Flowmon ADS を活用したネットワーク検知応答(NDR)を中心とするセキュリティ監視に強みを持つ企業です。 独自の分析手法と実践的なインシデント対応は、欧州でも高く評価されています。 当社は国内総販売代理店として長年 Flowmon を取り扱っており、チェコ企業との連携は事業上重要なテーマの一つです。 今回の情報交換の場を通し、Flowmon ADS の活用方法の違いやSOCサービス運用の成熟度に触れ、日本市場の将来を考えるうえで多くの示唆を得ることができました。


日本市場の現状と課題、チェコ市場の動向

近年、日本ではネットワーク可視化ソリューションの需要が高まっている一方、 Flowmonのセキュリティ機能である ADS(Anomaly Detection System)オプションの利用率は横ばいで推移しています。 背景には、SOCサービスのROI(投資対効果)を説明しづらいという根本的な課題に加え、クラウド移行・SASE・ZTNAといった新たなアーキテクチャへの関心が高まる中、セキュリティ投資の優先順位が分散している状況があります。 総務省は通信履歴の3〜6カ月間の保存を推奨するなどログ管理に関わるルール整備を進めていますが、企業の対応度は依然としてまちまちです。

こうした日本の状況とは対照的に、チェコではEUの NIS2 指令を国内法として取り込んだ新たなサイバーセキュリティ法が施行され、 ネットワーク監視、ログ保存、インシデント報告などの具体的な対策が企業に義務付けられました。 この結果、多くの企業が継続的な監視体制を構築する必要性に迫られ、Flowmon ADS の導入や既存環境のアップグレードが急速に進んでいます。 法規制を背景としたセキュリティ投資が拡大するチェコ市場は、日本とは異なる環境が形成されつつあります。

これらの動向からは、規制の強制力の有無、ROIの捉え方、セキュリティ文化の成熟度といった違いが、日欧それぞれの市場に明確な差を生んでいることがわかります。 もっとも、これらの差は単純な優劣を意味するものではありません。 日本企業が自社の課題解決や投資判断を行う際には、EUのように法制度や標準化が進んだ取り組みは大いに参考になり、こうした先進事例から学ぶ価値は今後ますます高まっていくでしょう。


チェコ共和国SOC企業との協業

今回の情報交換の場を通し、同社が中央ヨーロッパで培ってきたセキュリティ運用ノウハウを深く理解できただけでなく、 オリゾンシステムズが なぜチェコの企業と協業するのかを改めて明確にする良い機会となりました。

チェコは、欧州の中でもサイバーセキュリティ分野の研究が非常に盛んな国として知られており、 特にブルノ市は大学・研究機関・技術企業が密集する“中欧のテクノロジーハブ”と呼ばれています。 Flowmon を生んだマサリク大学をはじめ、暗号・ネットワーク・AI などの基礎研究が実用製品へスピーディに転換される環境が整っており、 EU全体の高いセキュリティ基準に適応した企業が多く存在します。その中でも AXENTA は Flowmon と同じ学術的バックグラウンドを持ち、 EU規制に沿った実践的なSOC運用を提供している点が、協業相手として非常に魅力的な企業です。

EUはGDPRをはじめとする厳格なデータ保護・セキュリティ法により、企業が一定以上のセキュリティ水準を満たすことが義務化されています。 チェコにおいても新しいサイバーセキュリティ法が施行され、企業は高度な監視体制やログ管理を求められるようになりました。 そのため、必然的に SOC 運用を強化し、攻撃検知やログ分析に継続的な投資を行っています。 法制度と市場の成熟が、AXENTAをはじめとしたIT企業の技術力と実践力を押し上げているのです。

オリゾンシステムズは、EU の厳しい基準で鍛えられたAXENTAのノウハウを日本市場に取り入れることで、 国内のお客様のセキュリティ運用レベルを一段引き上げられ、 特に以下のような要望を持つお客様にとっては、有効性の高いものとなると考えております。

  • SOC構築の負担を軽減したい企業
  • ネットワーク型脅威検知を強化したい企業
  • 海外拠点を含むセキュリティ統合管理を求める企業

AXENTAでは、チェコに支社を置く日本企業との協業が既に進んでいます。Flowmon ADS を中心にしたネットワーク可視化と AXENTA の分析力を組み合わせることで、 従来よりも深いレベルまで踏み込んだ脅威分析や、迅速で実効性の高いセキュリティ対策を実現いたします。


終わりに

今回の情報交換の場では、チェコ市場における積極的なセキュリティ投資姿勢やSOC運用の成熟度など、日本企業が学べる点を数多く確認できました。 特にFlowmonをはじめとするブルノ市(Brno)発の技術企業との連携は、当社にとって重要な戦略的テーマでもあります。 日本国内でもセキュリティニーズが高まり続ける中、チェコ企業との協業をさらに強化し、新たな価値を提供できると確信しています。 オリゾンシステムズは今後も国内外のパートナーと連携し、より強固なセキュリティ運用を支援してまいります。