球場インタビュー、プロコップ選手の奮闘

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去る3月、弊社にご来社いただきルートインBCリーグ 神奈川フューチャードリームス入団にあたっての意気込みを語ってくれたミラン・プロコップ(Milan Prokop)選手ですが、その後チームメンバーとの練習を重ね、徐々に試合でもバッターボックスに立つ様子が見られるようになりました。 今回は4月25日にサーティーフォー相模原球場にて行われた読売ジャイアンツ三軍との交流戦を観戦し、試合を終えたばかりの川村丈夫監督並びにプロコップ選手へお話を伺いました。

プロコップ選手インタビュー

(来日から2ヶ月弱となり、日本での生活はいかがでしょうか。来日前の想定と異なっていた部分はありましたか。)

日本はヨーロッパとは全く異なる国という印象だったので、行く前に過剰な期待は持たないようにしていました。日本でどんなことが待っているのか待ち遠しく、楽しみにしていたというのが正直なところです。 日常生活も一日として同じ日はなく、6~7時間練習した日は周りを散策して仲間とご飯を食べに行ったり、家にいる時は野球から離れて両親や友人と電話で色々会話したりと、充実した日々を過ごしています。

(練習がある日は概ねどのようなスケジュールなのでしょうか。)

8時半頃にスタートし、15時~16時頃に解散となります。 チェコでは各々学校や仕事があるため、夕方などの午後から練習が始まることがほとんどでしたが、ここでは朝早くからスタートするため体を慣れさせるのに苦労しています。


(実際にチームメンバーとの練習に参加するようになって、プレースタイルの違いなど何か気づいたことはありますか。)

練習の仕方や練習時間など、全てが異なっていると感じました。チェコでは時間がより限られているため、キャッチボールをした後はゴロ捕球・ノック・バッティング…という風に休憩を挟まず駆け足で進んでいきますが、 日本ではこまめに休憩を挟むので練習スタイルが違い、守備やピッチング、投球も異なります。どちらが良くてどちらが悪いということではないですが、単純にチェコでの練習と違う部分が大きいです。

(前回「日本野球はフィールディングが巧み」 と仰っていましたが、その後それについてお父様とお話しする機会はありましたか。)

日本のフィールディング技術は世界でもトップレベルであり、私にとって一番伸ばしていきたい部分でもありました。 週に1~2回野球について友人達や父と電話で話をしますが、現在はフィールディングよりもバッティングについて話すことの方が多いですね。 もちろん日本のフィールディングは足の使い方など異なる部分はありますが、適切なタイミングでキャッチして送球することができれば、日本人選手なのかヨーロッパの選手なのかは問題にならないと思います。 それよりも打者として、ピッチング技術に大きな違いがある事に気づきました。ヨーロッパやアメリカでは速球がよく投げられるイメージですが、日本では速球よりもカーブやフォーク、チェンジアップなどの変化球が多いと感じました。 球のスピード自体にチェコと大差はないですが、3~4回遅いボールが来た後に速球が来ると体感スピードが全く異なります。変化球や遅い球、速球のバリエーションの幅広さに苦戦しています。


(チームメンバーやコーチ、監督の皆さんはどうですか。どのようにコミュニケーションをとっていますか。)

なかなか思うように意思疎通ができていない部分もありますが、自分も基礎レベルの日本語を勉強中なので、身振り手振りも交えて日々を乗り切っている状況です。 選手たちとは年も比較的近いので、スマートフォンなどを使ってうまくコミュニケーションがとれています。 コーチ陣との会話はまだ模索中の部分も正直あります。言葉のニュアンスなど、全てを理解しきれていないと感じています。 私も日本語が話せないので自分のコンディションなどを伝えることも難しく、そのような状態を心苦しく思っています。

(前回のインタビューではお母様がよき理解者と伺いましたが、今の生活についてどのように感じていらっしゃるでしょうか。)

母もそうですが、私の家族全員が自分のよき理解者であり、週に数回連絡をとっては日本での挑戦を後押ししてくれています。 6月には家族が学校や仕事の調整をつけて日本に来てくれることになったので、バッターボックスに立つ自分の姿を直接見てもらうのが楽しみです。 それを活力にして、これからも練習に励みたいと思います。


川村丈夫 監督インタビュー

(プロコップ選手はチェコの選手ですが、これまでチェコの方と関わりはありましたか。)

WBCでチェコ代表の活躍や親しみやすい国民性であるという印象は受けましたが、実際に関わるのは初めてです。プロコップ選手もまさにそのような感じで、チームメンバーと共に一生懸命練習に励む好青年ですね。

(普段どのように彼とコミュニケーションをとっていますか。外国人選手相手だと、どうしても通じる部分とそうでない部分が出てくると思いますが。)

どこの独立リーグでも通訳の方を置いていないことがほとんどなのでそれを承知の上で来てもらっていますが、逆に日本人選手が海外の独立リーグに行く時も同じです。 幸い彼は英語が堪能なので、日本人選手も片言の英語で話しかけたり、スマートフォンなどを用いてコミュニケーションをとったりしています。 日本の野球に対するリスペクトというものはすごく感じますし、周囲にも溶け込みやすいタイプだと感じています。

(プロコップ選手の普段の様子を見ていて、コンディションはどのように感じていますか。)

シーズン開始前は思うようにバッティングできず精神的にも悩んでいるようでしたが、先日1本ヒットを打ってから少し変わったように感じます。 周りの選手の話だと、すごく落ち込んで引きずってしまうような性格ではなさそうなので、その辺りは安心しています。 どのようなプレースタイルにすべきか一度アドバイスを求められましたが、彼の魅力は長打にあると思っているので、今まで通りのプレースタイルでいってほしいと伝えました。

(プロコップ選手に今後期待していることは何ですか。)

日本人の選手とプロコップ選手、それぞれにとってお互いの刺激になればという期待が一番大きいですね。 彼は21歳とチームの中でも若く、いきなりの戦力というよりもこれからの成長が楽しみな選手です。 若くして異国までやって来て、チャレンジするその姿勢を見て日本人の選手も何か得るものがあるだろうし、 反対にプロコップ選手にとっては日本の野球を学べる良い機会になります。 球団としても新たなチャレンジではありますが、もしかすると今後日本の選手がチェコのリーグに行くかもしれません。 そのようなきっかけになれば、と考えています。


インタビューを終えて

日本での生活を本格的にスタートさせ、母国とは違う練習スタイルや独特の文化など、新しい環境に身を置きながら挑戦するプロコップ選手の姿は、以前にも増して輝いていました。 25日の試合では惜しくもヒットとはなりませんでしたが、初出場・初打席となった公式戦では見事タイムリーヒットを放ち、その様子がYouTubeにもアップされています。 オリゾンシステムズでは今後も日本のプロ野球に挑戦するプロコップ選手の活躍を祈願し、その活動を追ってまいります。