BGP/MPLS VPNの仕組みとMPLSコアネットワークの
帯域監視(2/4)

2014年08月04日

2015年11月20日


今回の講義では、「BGP/MPLS VPNの仕組み」および「MPLSコアネットワークの帯域監視」について紹介します。

コアネットワークの動作

(1) 最適経路の構成

コアネットワークのP/PEルータは、まず、通常のルーティングプロトコルによりコアネットワーク内のルータ間(CEルータは関与しません)で経路情報を交換し、この経路情報と他の、STATICルートなどを
配慮し、最適のルーティングテーブル(FIB:Forward Information Base)を構成します。
表-1にPE(1)のルーティングテーブルを示します。 利用者は一般的にプライベートアドレスを使用しておりIPアドレスは他の利用者と重複しています。このままでは、VPN上で利用者個々のIPを一意に識別することができません。これを解決するためBGP/MPLSでは、利用者個々に8バイト長の識別子RD(Route Distinguisher)を付与し、利用者の経路が個々に識別できるようにしています。

表-1 PE(1)のルーティングテーブル(FIB)

表-1 PE(1)のルーティングテーブル(FIB)

このルーティングテーブルは、Labelを持たないパケットの交換およびMPLS網の最適経路の選択に使用されます。

(2) MPLS Labelの設定・配布

次に各ルータは、ルーティングテーブルの個々の経路にMPLSのLabelを付与し(これをLocal LabelまたはInput Labelと呼ぶ)、このLabel情報を全隣接ルータにLDPプロトコルにより配布します。
各ルータは、受信したLabel(Output Labelと呼ぶ)により、経路毎にLocal Label、隣接ルータから
送られてきたLabelを集約しLabelテーブル(LIB:Label Information Base)を生成します。
コアネットワークは、新しい経路を検出すると、前述と同様にLabelを新規にアサインし全隣接ルータに
通知します。
表-1にPE(1)のLabelテーブルを示します。

表-2 PE(1)のLabelテーブル(LIB)

表-2 PE(1)のLabelテーブル(LIB)

青色部分は、(1)のルーティングテーブルの最適な宛先を示します。

(3) LSP(Label Switching Path)の構成

その後、各ルータは表-2のLabel Information Baseおよび表-1で作成したルーティングテーブルを
参照し、経路毎に最適なNext Hopの隣接ルータを選択します。
そのNext HopルータのLabelをOutgoing Labelとして、Label転送テーブル、LFIB(label forwarding information base)を生成します。
表では直接接続は除きます。
表-3にPE(1)のLFIBテーブルを示します。

表-3 PE(1)のLFIBテーブル

表-3 PE(1)のLFIBテーブル

(Pop Label)はLDPプロトコルにより通知され、当該経路を自分が保持しているので、
Outgoing Labelの付加が不要であることを指示します。

コアネットワークは受信パケットのTop LabelとLFIBのInput Labelを照合し、合致したNext Hopの宛先に高速にスイッチします。
この時、LabelはOutgoing Labelに付け替えます。
表で「(Pop Label)」の表示がある宛先にはTop Labelを外して送信します。
これは全てのルータ上で行われます。この様に、MPLSを使ってできた仮想的なパスを「LSP」(label switching path:Label交換パス)と呼びます。
コアネットワーク内には、経路毎に仮想的なパス、LSP(Label Switch Path)、が構成され高速な
仮想スイッチ網が形成されます。
LSP(A)およびLSP(B)のパスを表-3および図-3に示します。

図-3 LSPの構成

図-3 LSPの構成

なお、LSPは片方向のパスなので、送受信を行う為には逆方向のLSP設定が必要です。
従って、LSP(A)、LSP(B)の逆方向のパス、PE(2)⇒PE(1)およびPE(4)⇒PE(1)のLSPも
同様に構成されます。
これによりPE(1)とPE(2)およびPE(1)とPE(3)間の送受信パスが形成されます。

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